文字列をポインタで受け取るか配列で受け取るかの違い

C言語では文字列をcharの配列で扱います。文字列が関数のパラメータとなっているとき、呼び出される側の関数の引数定義はポインタでも良いし、配列でも良いです。どういうことかというと

main( ) {
 char s[ ] = “Hello”;
 :
 func( s );
 :
}

というプログラムがあった場合、呼び出される関数「func()」は以下のどちらで定義しても大丈夫です。

void func( char *p ) {・・}
void func( char a[ ] ) {・・}

ポインタで定義するか配列で定義するかでプログラム作成者の意図があるでしょうから、*p で扱うならポインタ位置の操作で、a[ ] で扱うなら添字を使っての操作を意図しているのだと思います。具体的な例を載せておきます。


#include <stdio.h>

void funcp( char *p );
void funca( char a[] );

int main( void )
{
	char s[] = "Hello";

	funcp( s );
	funca( s );

	return 0;
}

void funcp( char *p )
{
	while( *p )
		printf( "%c\n", *p++ ); 
}

void funca( char a[] )
{
	char i = 0;
	while( a[i] )
		printf( "%c\n", a[i++] ); 
}

funcp、funcaにあるwhile文ですが、簡略化して書いてしまったので補足しておきます。

while( *p )
 printf( “%c\n”, *p++ );

while( a[i] )
 printf( “%c\n”, a[i++] );

は、以下と同じです。

while( *p != NULL ) {
 printf( “%c\n”, *p );
 p++;
}

while( a[i] != NULL ) {
 printf( “%c\n”, a[i] );
 i++;
}

実行した結果です。

$ ./a.out
H
e
l
l
o
H
e
l
l
o

文字列をポインタで受け取るようにするか配列で受け取るようにするかは好みの問題かもしれませんが、では、ポインタで受け取っているのに配列で操作したりとか、配列で受け取っているのにポインタで操作したらどうなるか?をやってみました。ソースを以下のように書き換えています。


void funcp( char *p )
{
	char i = 0;
	while( p[i] )
		printf( "%c\n", p[i++] ); 
}

void funca( char a[] )
{
	while( *a )
		printf( "%c\n", *a++ ); 
}

実行した結果は、まったく同じでした(変わりませんでした)。なので、文字列をポインタで受け取っても配列で受け取っても同じように扱えるということのようです。「ようです」と書いているのは自分の中でどういうメカニズムなのかモヤモヤしているためなのですが。個人的にはポインタで受け取ったならポインタでの操作、配列で受け取ったなら添字での操作、という意図でソースを書いたほうが良いんじゃないかな、と思います。

間接演算子「*(アスタリスク)」とインクリメント演算子「++」の優先順位

C言語でポインタを使うと間接演算子「*(アスタリスク)」を使うことになりますが、この間接演算子にインクリメント演算子「++」が加わると、どちらを先に演算するのか混乱してしまうときがあります。以下の例について、どういう演算かわかりますか?
p はポインタ変数です。

1. ++*p;
2. *++p;
3. *p++;
4. (*p)++;

1. は、pが指す値自体をインクリメントして参照します。
2. は、pのポインタ位置をインクリメントしてpが指す値を参照をします。
3. は、pが指す値を参照してから、pのポインタ位置をインクリメントします。
4. は、pが指す値を参照してから、pが指す値自体をインクリメントします。

間違いやすいのは、たぶん 3.じゃないかと思います。後置演算の「++」が「*p」にかかるのか「p」にかかるのか、というところです。3. の場合は「p」にかかります。

実際にこれらの演算を行って結果を表示するプログラムを載せておきます。結果を推測してみてください。

コピペするならこちらをお使いください。


#include <stdio.h>

int main( void )
{
	char *p;
	char a[] = { 1, 3, 5, 7 }; 

	p = a;

	/* pの指す値 */
	printf( "0: %d\n", *p );

	/* pの指す値をインクリメント */
	printf( "1: %d\n", ++*p );
	
	/* ポインタをインクリメントしてからpの指す値を参照 */
	printf( "2: %d\n", *++p );

	/* pの指す値を参照後にポインタをインクリメント */
	printf( "3: %d\n", *p++ );
	printf( "4: %d\n", *p );

	/* pの指す値を参照後にpの指す値をインクリメント */
	printf( "5: %d\n", (*p)++ );
	printf( "6: %d\n", *p );

	return 0;
}

結果は以下となります。

$ ./a.out
0: 1
1: 2
2: 3
3: 3
4: 5
5: 5
6: 6

2020/11/8 追記
配列の添字がついたときの演算子の優先順位も試してみました。ほとんど使うことはないだろうし、混乱するので読み飛ばしてもらっても構いません。。以下の違いです。

5. *++argv[0]
6. (*++argv)[0]

やりたいことは以下のプログラムと同じです。


#include <stdio.h>

int main( int argc, char *argv[] )
{
	while( *++argv )
		printf( "%s\n", *argv );

	return 0;
}

実行時の引数を画面に表示(印字)するだけのプログラムです。引数に「apple」と「orange」をつけて実行すると

$ ./a.out apple orange
apple
orange

という結果が画面に表示されます。これをわざわざ配列を使って処理します。*++argv[0] と (*++argv)[0] が登場します。ソースコードを先に載せておきます。


#include <stdio.h>

int main( int argc, char *argv[] )
{
	while( --argc )
	{
		printf( "%c", (*++argv)[0] );

		while( *++argv[0] )
			printf( "%c", *argv[0] );

		printf( "\n" );
	}

	return 0;
}

whileで2重ループにしています。文字列(ここでは文字配列と書いておきます)へのポインタ配列を1つづつ進ませつつ、その中で文字配列を1つづつ印字しています。イメージ図を書いておきます。[ ] は *(アスタリスク)や ++(インクリメント演算子)より結合が強いです。

配列を使わずにポインタで処理する場合も載せておきます。

(*++argv)[0] は **++argv に変更
*++argv[0] は *++*argv に変更

としていますが、ここまでくるとよくわからなくなります・・


#include <stdio.h>

int main( int argc, char *argv[] )
{
	while( --argc )
	{
		printf( "%c", **++argv );

		while( *++*argv )
			printf( "%c", **argv );

		printf( "\n" );
	}

	return 0;
}

実行結果は同じになります。